2009年03月23日

君と淀とが

魔理沙は家を掃除をしている最中、一つの落書きを見つける。

登場キャラ
魔理沙 慧音 霖之助












 それを見つけたのは何年振りかもわからない大掃除をしていた時のことだった。
 基本的に魔理沙は掃除をすることはしない。よって家の中は強盗でも入ったかのように
散らかっているのが常である。その例に漏れるのは本棚だけで、実験に使う道具なども基
本的には使いっぱなしにすることが多い。どのように並べてあったとしてもそれをきちん
と記憶しているならば使用に全く問題はない。ならば掃除するだけの労力が無駄であると
考えているのだ。
 しかし当然そんな状況では一度見失ったものを見つけ出すことは困難である。そして失
くし物をしたならば別の所から手に入れるか泣き寝入りをするかのどちらかの選択をする
しかない。ではどうしてそんな自分が掃除をしているのかというと、それは好奇心に寄る
ものに他ならないのだ。
「うーん、やっぱりここには誰かが住んでいたみたいだな」
 棚の裏に見つけた小さな落書き。書いている最中に誰かに見つかりそうにでもなったの
だろう。歪んだ形の相合傘に蚯蚓がのたくったような字で二人分の名前が連ねてあった。
余りにも古びた落書きでもう名前も判別出来なかったが、そこには往時の様子を想起させ
る何かがまだ残っているような気がした。
 魔理沙が掃除を始めたのはその落書きが切欠だった。何故か脳裏からその落書きが離れ
なかったのだ。確かに自分の住んでいる家に未だに前の住人の残り香があることは気にな
るだろう。だがそれ以上の何かが魔理沙の魔法使いとしての勘に引っかかっていた。
 そうして始まった掃除と言う名の家捜しは家中をひっくり返す勢いで行われた。だが結
局それ以上の痕跡は見つからなかった。家は余計に汚くなった。

                            *

 魔理沙が家を飛び出して香霖堂へと向かったのはそれから直ぐのことだった。わからな
いことがあったら聞くことの出来る人間がいるというのは便利なものだ。
 しかしそんな不真面目なことを考えていた所為だろうか。絶対にいると思っていた人物
の不在という事実が突きつけられてしまった魔理沙は立ち往生することになった。
「まいったな、香霖が留守とは思わなかったぜ」
 私室から風呂、果ては厠まで覗き込んでも人っ子一人いないのだ。流石にどこかに出か
けたのだろうと結論付ける他はない。本来消去法は推理には向かないのだが、魔理沙は有
名な探偵に習い"あの男が外出する"というありそうにない事実を受け入れた。
 いつもの壷に腰をかけて待つべきか帰るべきかを思案する。さりとて全く考えるべき材
料もなく、下手の考えは容易に只の休憩へと成り代わってしまう。
 そのまま四半刻も過ぎた頃だろうか。いい加減に足をぶらぶらさせることに飽きを感じ
始めた時、店の入り口から物音が聞こえた。
「おお、香霖。どこへ行っていた……んだ?」
「何だ、魔理沙じゃないか。店主は留守か?」
 待ち人は来ず、逆に入ってきた女性に質問を返される。遠目からでも判別出来る特徴的
な帽子を被っているその人物は里の守護者こと上白沢慧音その人だった。
「香霖ならどこかに行っちまったぜ。欲しいものがあるなら適当に持っていっていいぜ。
お代は私が預かろう」
「泥棒に追銭をする奴がいるか。それに私は店主に用があるのであって買い物に来た訳で
はないからな。待たせてもらうとするよ」
 勝手に椅子に腰をかける慧音に言葉の間違いを指摘してやろうかと思いつつも、どうせ
面倒なことになるだろうと口を噤んだ。
 回れ右をして再び壷に腰をかけると、面倒なことになったと魔理沙は溜息を付いた。

 古ぼけた時計の時を刻む音が大きく聞こえる。それもそのはず二人の間に会話がないの
だ。慧音の様子は里で見かけたときと違いどこか物憂げな雰囲気を纏っている。それが魔
理沙に声をかけるのを躊躇わせた。その所為かどうか、慧音の方から口を開くこともない。
 そんな耳鳴りがする程の静寂の中で先に痺れを切らせたのは魔理沙の方だった。元より
黙っていることの出来ない性質でもある。
「それで上白沢の先生がこんな辺鄙な道具屋に何の用なんだ?」
 魔理沙の言葉に顔を上げた慧音の表情は、やはりどこかいつもと違う。その違和感がど
うして心に引っかかるのかもわからずに慧音の顔を眺めていた。
「用という程でもないんだがな。中々顔を見せに来ない知己にこちらから会いに来たとい
う訳さ。それよりお前の方こそどうなんだ?」
「どう、といわれてもな。ただここの店主に聞きたいことがあっただけだ」
 魔理沙がかいつまんで事情を説明すると慧音は興味深そうに頷いていた。結局の所、退
屈を持て余していたのはお互い様だったのかもしれない。
「なるほど、住んでいる家の前の住人に付いて聞きたいってことか。そういえばお前はど
こに住んでいるんだ? 里で見かけた覚えはないが」
「ここだ」
 本が床を打つ音が大きく響いた。慧音が机を揺らした所為だ。それを拾おうともしない
慧音を不審に思い魔理沙が壷から腰を上げかけた時、初めて慧音の変化に気が付いた。
「ここ……だと?」
 愕然とした表情で慧音は魔理沙を見つめていた。頬には一筋の汗が流れている。
「あ、ああ。そうだぜ? ここ、魔法の森に居を構えているんだ。まあもうちょっと奥まっ
たところだけどな」
 魔理沙の返答に慧音は大きく息を付いた。
「そ、そうか。そうだな……流石にあの男もこんな少女には……」
「なんだって?」
「い、いや。なんでもないっ」
 済まないなと口の中で呟くようにして慧音は魔理沙の手から本を受け取った。そんな様
子を訝しみながらも、魔理沙が何かを問う前に慧音の方から口火を切った。
「そうだ、家のことだったな。これでも私は幻想郷の歴史に通暁している方だ。もしかし
たら私が力になれるかもしれないぞ?」
「あー? 別に香霖に聞くからいいんだけどな」
 様子のおかしい慧音だったが、確かに店主が帰って来るのは何時のことになるかもわか
らない。暇つぶし位にはなるだろう。そんな考えから魔理沙は慧音に家のことを話し始め
た。答えが返って来るなどと期待すらせずに。
 だがそんな考えを裏切るかのように慧音の言葉は魔理沙の耳朶を打っていた。
「その家、私の知っている家かもしれない」
 今度は魔理沙が本を落とす番だった。

 半刻の後、再び香霖堂へと帰ってきた二人を出迎えに現れる者は未だにいなかった。
 気ままな店主に互いに文句を連ねつつも、疲れた身体を休めるために椅子と壷へと体重
を預ける。
「そろそろ話してくれてもいいんじゃないか? というか何で戻ってきたんだ、折角私の
家まで連れて行ってやったのに」
「あの家に入ろうと思う人間がいたら連れてきて欲しいよ」
 慧音を魔理沙の家に連れて行ったところ、一目見て慧音はそれと気が付いたらしい。思
わぬところに転がっていた僥倖に魔理沙は答えを急かしたのだが、慧音は取り合おうとし
なかった。その理由を問えば原因は魔理沙の家にあるという。
 ――台風が通り過ぎた後のようだ
 そう慧音が評した魔理沙の家では落ち着いて話すことが出来ないということらしい。
「それで、あれは誰の家だったんだ?」
 勝手知ったる、と言う奴で魔理沙は二人分のお茶を煎れていた。口の滑りを良くしよう
という魂胆であるが、それ以上に自分も喉が渇いていた。
「あの家にはな、魔法使いが住んでいたんだ」
「ふーん。それで、どんな奴が住んでいたんだ?」
 慧音の言葉は魔理沙の予想の範囲内だった。間取りや窓の位置、残された家具などから
それは簡単に類推出来る。勿論、それに気が付いたのはある程度魔法への造詣が深まって
からのことではあるが。
「そうだな、何の変哲もない老人だったよ。そう……何の変哲もない、ね」
「老人だって? 他には誰かいなかったのか?」
 慧音には落書きのことは話していない。ただ機会がなかっただけなのだが、何となく口
にするのが憚られるような気もしていた。
「住んでいたのは一人だけだよ。ただ……」
「ただ?」
「魔法使いだというのに変わったところのない人だったからな、よく子供が遊びに行って
いたんだ」
 どこか遠い目で語る慧音には往時の様子が見えているのだろう。視線の先にはまるで子
供がいるかのようにさえ思える。机に背が届くかどうかというくらいの小さな子供が魔理
沙の目にも見えた気がした。
「男の子と女の子だろう?」
「やけに鋭いじゃないか、当たりだよ」
「魔法使いの勘って奴だぜ」
 視線で話の続きを促すと慧音は目を瞑り背もたれに身体を預けるようにして語りだした。
「小さな小さな村の更に外れにあるその家は悪魔の住む家と恐れられていた。本人を前に
こういうのはどうかと思うが、魔法使いというのはそれだけ恐れられる存在だったんだ」
「まあ、そんなもんだ」
「子供達が村の外に行くのを怖れた大人たちが意図的に誇張していた節もある。魔法使い
が皆嫌われていた訳ではないと思うぞ」
「別に私は気にしてないぜ?」
 それは慧音なりの配慮だったのだろうが、そんなことより今は好奇心が魔理沙の心を捕
らえていた。そんな魔理沙に呆れたような笑みを返して慧音は言葉を続けた。
「子供の好奇心ってのは厄介なものだな。そうやって脅せば脅すほど興味を持つのが常だっ
たのさ。そしてある日、二人の子供がこっそりその家に近付いてしまったんだ。しかしど
うだ、鬼か出るか蛇が出るかと身構えていた二人を迎えたのは一人の好々爺だったんだ」
「それだけ聞くととても魔法使いの爺さんとは思えないな」
「そうだな。今でこそわかるがあの人は矢張りあの人は変わり者だったのだろう。何せ魔
法使いといえば変人揃いだからな。常識的な魔法使いなんて聞いたこともない」
 口元を緩ませて慧音は意味ありげな視線を送る。
「失礼な奴だぜ。そんな物言い、アリスやパチュリーが可哀想だと思わないのか?」
「どこかの泥棒さんに向かって言ったつもりだったんだが……まあいい。老人もきっと寂
しかったんだろうな、不躾な二人を邪険にせず孫のように可愛がったんだ。二人も直ぐに
懐いたよ。何せ本当に小さな村だったからな、簡単な魔法の道具や術式でも二人にとって
は刺激的だったんだろう」
 それからというもの二人はことあるごとに老人の家に行くようになり、それを老人も歓
迎した。少年は魔法の道具に興味を持つようになり、少女の存在を忘れて没頭することが
良くあった。そのことは少女にとっては不服だったが、一つの物事にのめり込みがちな少
年は聞く耳を持たなかった。
 そこまで慧音は語り終えると、思い出したかのように置かれた湯飲みに口を付けた。
「まるで見てきたような話だな」
「これでも白沢だからな、大概のことは一度見聞きすれば忘れないのさ」
 慧音の言葉には深い実感が込められており、濁してはいるが恐らくその少女こそが彼女
自身なのだろう。だがそこを敢えて突っ込むほどに魔理沙は子供ではなかった。いや、好
奇心があったことは間違いない。ただそれ以上聞いてはいけない何かがあるのだと直感し
ていたのかもしれない。
 再び静寂が室内を覆っていた。響く音といえば湯飲みを持ち上げる際の衣擦れの音とそ
の直後の湯飲みが机を叩く音だけだ。それが何度か繰り返される間も、魔理沙はじっと待っ
ていた。
 慧音はきっとこれ以上を語ることに抵抗があるのだろう。それでも魔理沙は続きを聞き
たかった。だから興味と配慮を両天秤にかけた結果、無言で待つという選択肢しか残され
ていなかったのだ。
 結局、根負けしたのは慧音の方だった。一つ小さく息を付くと、空になった湯飲みを置
いて話の続きを口にした。
「待っているのはこの手の話によくある落ちだけだ。足繁く老人の元へと通うようになれ
ば、それは自ずと村の人間に気付かれる。そうなれば結果は火を見るより明らかだ。直ぐ
に老人は住処を追われることになったよ」
「二人は引きとめようとしなかったのか?」
「当然したよ。だが老人が拒んだんだ、それが何よりも二人のためだってね。魔法使いは
元より一処に留まることは出来ないと覚悟していたんだろう。そしてそれ以上に村の中で
二人が異端視されることを畏れたんだと思う。心優しい魔法使いは二人を十分に諭してか
ら旅立って行ったんだ」
「それで?」
「いや、それで終わりだよ。子供はもうその家に近付くことはなかったし、村にも余計な
軋轢が産まれることもなく忘れ去られていった。それからどうなったのかは知らなかった
が……現在は一人の魔法使いが住んでいるようだな」
 話し疲れたのだろう、慧音は両手を組むと大きく息を付いた。だが魔理沙が本当に聞き
たかったことは聞けていない。
「それは知ってるぜ。私が聞きたいのは子供の、少女のその後のことだ」
「どうして? 少女はその家には余り関係ないぞ。魔法使いでもないしな」
「いや、私が聞きたいのはそんなことじゃない。少女の恋の行方が気になっているんだ」
「なっ、何で私がっ――ああ、いや、えー、あー、おほん。……何でその少女が少年に恋
をしていたんだと思うんだ?」
 面白いくらいに激しく反応する慧音に魔理沙は悪戯な笑みを返した。
「おっと、言うのを忘れていたな。私があの家に興味を持った切欠は一つの落書きだった
んだ」
 落書きの内容を告げると慧音はばつが悪そうに顔を背け、頭をかいた。
「まー、何だ。相手は稀に見るくらいの鈍い奴だったからな。恐らく少女の気持ちには気
付いていなかったんだろう。二人はその後離れ離れになったからな、それっきりなんだろ
うさ」
「そうか、疑問が一つ晴れてすっきりしたぜ。すっきりついでにもう一つ聞きたいんだが」
「好きにすればいい」
「その時の少女はもしかして、今でも相手のことを好きでいるんじゃないか?」
 ふっと慧音の顔が翳る。それは今まで魔理沙が見たことのない表情だった。
「……どうだか。ただ一つ言えることは、あんな朴念仁を好きでいられる奴はよっぽど物
好きだってことくらいか」
 慧音が遠く見つめる先は果たして魔理沙の思っている通りの場所なのだろうか。そこま
でを口にするのは流石に躊躇われた。果たしてそれは気遣い故の躊躇なのか、それとも怯
懦の為に踏み込めなかったのか。
 何もわからないままに時間は過ぎていった。

 二人に意識を取り戻させたのは屋根を打つ雨音だった。次第に強さを増していく雨脚は
慧音が腰を上げさせるのに十分だった。
「さて、今日のところは帰るかな。これ以上待つと帰る機会を逸しそうだ」
 お茶の礼を告げ足早に出口へと向かう慧音の背中に魔理沙は声をかける。
「ちょっと待った。傘もなしに何処へ行こうっていうんだ。ほら」
 手近な傘を引き抜くと慧音の手元に押付ける。だが、それは直ぐに魔理沙の元へと押し
返された。
「私は泥棒の片棒を担ぐ気はないぞ。生憎今は手持ちもない、今日のところは濡れて帰る
さ」
「おっと、早合点はそこまでだ。泥棒が代金を払わないと決め付けるのはよくないぜ」
 探った懐からなけなしの貨幣を取り出して笑う。
「それだと泥棒じゃなくなるんじゃないのか?」
「物は盗めるが、人の記憶は盗めない。貴重なお話を聞かせてもらったんだ、お礼くらい
するのが筋ってもんだ」
「泥棒が筋を語るのも可笑しな話だ」
 慧音は口元を歪めて傘を受け取る。そして店主にきちんと手渡すよういい含めると足早
に店を出て行った。
「毎度あり」
 慧音の背中が小さくなるのを見届けると、残されたもう一本を手に魔理沙も香霖堂を後
にした。

                            *

 雨空の下、眉根を寄せて空を見上げている男を見つけるのは簡単なことだった。何せ行
動範囲が狭すぎる。その上徒歩で移動できる距離に限られるのだから、魔理沙の予想が一
発で当たったことに不思議はない。矢張り偉い探偵の言うことに間違いはなかった。帰納
的推理も悪いものじゃない。
「珍しいところで珍しい奴に会うもんだ」
「魔理沙じゃないか。こんなところで何をしているんだい?」
 魔法の森を通り過ぎ無縁塚へと繋がる再思の道の道中、何とか風雨を凌げる程度の木の
下に霖之助は立っていた。
「急な雨に降られて困って泣いている気配がしたからやって来たんだ」
「泣いてはいないが……驚いたな。魔理沙がそんな気配りをするなんてな」
「失礼な奴だぜ。私を何だと思っているんだ?」
「魔理沙は魔理沙だろ、って傘を一本しか持っていないじゃないか」
「仕様がないだろう? 乙女にはやんごとなき事情が、元へ……これ一本しかなかったん
だから」
 魔理沙の言葉に霖之助は訝しげな顔を返す。表情はそのままに魔理沙の手から傘を受け
取ると、背中を押して促し歩き始める。
 二人で連れ立って歩きながら、霖之助は思い出したかのように口を開いた。
「確か傘はもう一本あったはずだよ」
「それは売れちまったぜ」
 見上げる霖之助の顔は、見事に寄った眉根が広がっていた。それほど驚くことだろうか
と思いながらも、貨幣を手渡すと更に驚愕は大きくなっていた。
 まるで夢幻でも見ているかのように貨幣を何度も凝視して、よくわからないといった風
に魔理沙を見下ろした。
「もしかしてだが、店番をしていてくれたのかい?」
「偶然だがな。香霖に用があったんだが、そこに客が来てな。物を買う気はなかったが、
帰りがけに雨が降ったんで傘が入用になったという訳だ」
「何だか化かされているような気もするが……晴天の霹靂という奴だろうか」
「返す返すも失礼な奴だぜ」
「いや、悪い。そうだな、僕もまさか客が来るとは思わなかったんだ。このお金は取って
置くといい」
「……いいのか?」
「労働には報酬が支払われるべきだからね」
「なるほど、いわれてみればそうだな。じゃあ有難く頂戴するぜ」
 霖之助の視線には別の意味が込められているようにも思えたが、魔理沙は気にしないよ
うに努めた。直ぐに霖之助の溜息が耳朶に触れた。
 弾いた貨幣を胸元に突っ込むと、足早になった霖之助に置いていかれないよう足を速め
る。
「おい、魔理沙。あんまりくっつくなよ。歩きにくいだろ?」
「くっつかないと濡れるから仕様がないぜ。私が風邪でも引いたら大変だろう? 誰が看
病すると思っているんだ」
「ああ、わかったわかった。帰ったら風呂を沸かしてやるから直ぐに入るんだぞ」
「おう」
 歩きながら魔理沙は自らの家のある方角を見つめる。
 あの引っかかりは魔法使いの勘ではなかったが――乙女の勘に間違いはなかった。
 これで果たして同じスタートラインに並べただろうか。答えを求めて隣を歩く男の顔を
見上げみる。当然のようにそこには答えは見つからなかった。
「どうかしたかい?」
「なーんでもないぜっ」
 不思議そうに見返してくる霖之助だったが、直ぐに気にならなくなったのか直ぐに無言
で視線を戻した。
 どうせ"特技"を駆使して気にしないことにしたのだろう。長年の付き合いなのだから
それくらいはわかる。そのことに呆れつつも、見限る気はしないというのは自分も物好き
の一人だということなのだろう。
 魔法の森へとさしかかるまでの短い間、魔理沙は家の落書きをどうしようかと考えてい
た。 
posted by sei at 01:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「〜中々顔を店に来ない知己にこちらから会いに来た〜」  

中々顔を見せに来ないでは?

Posted by 誤字報告です at 2009年03月31日 14:24
ありがとうございます。修正しておきました。
Posted by sei at 2009年04月06日 22:22
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