2009年03月23日

森近霖之助の補習授業 神話編 四時限目

一時限目二時限目三時限目

●前回までの粗筋

霖之助「死んでしまったイザナミに会いに黄泉の国へ向かったイザナギだが、イザナミは既に黄泉戸喫により現世には帰れなくなってしまっていた」

魔理沙「覗くなよ、絶対に覗くなよ! と散々フラグを立てつつお偉いさんに相談に行ったイザナミだが、当然の如く覗いてしまったイザナギは蛆の湧いている死体となっていた妻を見てしまった」

霊夢「怒ったイザナミは黄泉の軍勢を率いて逃げるイザナギを追いかけたわ」

紫「呪いを使ってイザナギは逃げおおせることに成功するわ。そして千引岩で黄泉への道を封じたのだけれど」

永琳「イザナミが残した呪いによって人が死んでしまうようになったのね」


●キャラ紹介

霖之助「伊邪那岐神担当。神様の癖に情けないとか言わないように」

霊夢「伊邪那美神の担当……でした。今回は出番なし」

魔理沙「漸く出番です。でも産まれただけ」

紫「妖怪なのに天照大神あまてらすおおみかみ役とはこれ如何に。偉い人だからいいんです」

永琳月読命つくよみのみこと役。出番の少ない神様だけど他に適任はいないでしょう。困ったときはえーりんを呼べばいいってけーねもいってた」

パチュリー「儚月抄からして他に出番はないでしょう。住吉さん役です」















 黄泉の国から無事に帰ってきたイザナギだったが、その心身は黄泉の穢れに塗れていた。そこでその穢れを祓うために筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に行き清流に身を浸した。


霖之助「上の瀬は流れが速い、下の瀬は流れが遅い」


 そう言って中の瀬にて穢れを落とした時、その穢れから神が産まれた。
 まず八十禍津日神やそまがつひのかみ、次に大禍津日神おおまがつひのかみ。この二神は黄泉の国の穢れから産まれたことになる。
 そして次にその禍を正そうと成った神があった。神直毘神かむなおびのかみ大直毘神おおなおびのかみ伊豆能売いずのめの三神である。
 

霖之助「中々汚れが落ちないな。仕方ない、底の方に潜ってみよう」


 こうして水の中に潜ったときにも幾柱もの神が産まれた。
 水底にて洗い清めた時に産まれた神は底津綿津見神そこつわたつみのかみ底筒之男命そこつつのおのみこと
 水の中ほどで洗い清めた時に産まれた神は中津綿津見神なかつわたつみのかみ中筒之男命なかつつのおのみこと
 水上で洗い清めた時に産まれた神は上津綿津見神うわつわたつみのかみ上筒之男命うわつつのおのみこと


パチュリー「この底筒之男命、中筒之男命、上筒之男命を纏めて住吉の三前の大神と言うわ……って出番はこれだけ?」


 次々に神が産まれて生き、そして最後にイザナギは顔を洗った。


霖之助「……イザナミ」

紫「悲しまないでお父様」

霖之助「君は……」




 それはただ神と言うにはあまりにも神々しかった。気高く、美しく、力強く、そして年増可憐すぎた。
それは正に日の神だった。





紫「……少しひっかかる所がありましたが、まあいいでしょう。貴方の娘、天照大神です」

霊夢「確かに香霖堂に来る時の紫の外見は異常よねー」

霖之助「霊夢、出番もないのに出てくるのは止めてくれないか」


 左目をすすいだ時に産まれた神が天照大神である。


永琳「キャラ紹介からして出番がないって、どういうことかしら? まあいいけれど。月読命です」

霊夢「あんたは元ネタの出番もあるし、出演回数が増えてラッキーじゃない。私なんか出番なしよ、まあ勝手に出てくるからいいけど」

霖之助「黄泉の国へ帰りなさい」

霊夢「い、や、よ。主人公抜きで話を進めるのはおかしいでしょ?」

霖之助「……はぁっ」

永琳「あらあら、大変そうねえ」

霖之助「他人事のように言わないでくれ」


 右目をすすいだ時に産まれた神がで月読命ある。


魔理沙「主人公不在だって? それはこの私を見てから言うんだな」

霊夢「ゲェー! 何で魔理沙が!?」

霖之助「魔理沙じゃなくて須佐之男命だ。いい加減寸劇の流れを止めるのはやめてくれないか」

霊夢「だって出番がないっていうんだもん」

霖之助「わかった、そのことについては後で話し合おう。とりあえずはこの先、一千里の解説もどきの何かで待っていてくれ」

霊夢「仕様がないわね」

魔理沙「というわけで手の付けようのない暴れん坊こと建速須佐之男命たけはやすさのおのみことだぜ」


 最後に鼻をすすいだ時に生まれたのが建速須佐之男命である。


霖之助「あー、おほん。さて、僕は次々と神を産んだが最後に三柱の貴い子を得ることが出来た」

紫「ええ」

永琳「まあ」

魔理沙「当然だぜ」


 イザナギは自らの首飾りを揺らすとアマテラスに授けると、


霖之助「君は高天原を治めてくれ」

紫「承りましたわ、お父様」

霖之助「ツクヨミ、君には夜の国を任せたい」

永琳「はい、喜んで」

魔理沙「私は? 私には何かないのか?」

霖之助「スサノオには海の国を任せる。いいか、絶対に治めろよ? 絶対だぞ?」

魔理沙「おう、私は約束を破ったことがないのが売りだからな。そのフラグ、承ったぜ」

霖之助(駄目だとわかっていても任せざるを得ないというのは虚しいものだ……)


 最愛の妻を失ったイザナギだったがこうして貴い子を得ることになった。
 このアマテラス、ツクヨミ、スサノオの三神を称して三貴神(みはしらのうづのみこ)という。






●解説のようなもの
 
霊夢「では今から次の私の出番を決める会議を始めたいと思います」

霖之助「やらないよ」

霊夢「ちぇっ」

魔理沙「それにしても今回は短いな。やはり前回とセットにするべきだったんじゃないのか?」

永琳「それに前回から物凄い間も開いているみたいね」

霖之助「それを言われると辛いな。確かにただ神様が産まれるだけの話だし、色々と省略もした。間が開いてしまったのはSSの更新を優先させたからなのだが……もし待ってくれていた人がいたら本当に申し訳ない」

魔理沙「別に補習授業をやらないからって更新が早くなるわけじゃなかったからな」

霊夢「やると遅くなる癖にね」

紫「まあまあ、あんまり責めないでやって頂戴。アレもあれで苦労しているのよ」

魔理沙「最近割りに優遇されているからって余裕だな」

霊夢「一番優遇されているのはあんただけどね」

霖之助「反省会はそれくらいにするとして……今回の話だが、実はこれといって解説することはない」

霊夢「ただ神様が産まれただけだものね」

霖之助「アマテラスやスサノオについては以降でも出てくるので詳細な解説は不要だろう。ツクヨミは出番がないのだが、出番がないのならやはり解説の必要はない。住吉三神は儚月抄で出てくるので東方関連ではあるのだけれど、詳細を知りたい人はいないだろう」

パチュリー「待ちなさいっ! 人を一山いくらで扱っておいて解説までしないとはどういう了見かしら?」

紫「……このシリーズはねそういうものなのよ。諦めなさい」

魔理沙紫がいうと説得力があるな」

パチュリー「住吉三神は神話でも後に重要な役回りが……」

霖之助「残念ながら、今のところそこまで話を進める予定はないんだ。あくまで天孫降臨までの話をざらっと見ていこうというコーナーだからね」

魔理沙「そういうわけだ。しばらくはずっと私のターンだからパチュリーは本でも読んで出番を待つんだな」

パチュリー「くっ、覚えていなさい!」

霊夢「雑魚敵みたいな捨て台詞ね」

霖之助「というわけで今回は『アマテラス、ツクヨミ、スサノオという偉い神様がイザナギから産まれた』とだけ覚えてくれればいい。」

紫「あら霖之助さん、もう一つだけ言及するべきところがあるのではないかしら?」

永琳「禊祓についてですね」

霖之助「ああ、そうだね。一応そこには触れておいた方がいいかもしれないな」

魔理沙「そもそも禊祓ってなんなんだ?」

霊夢「禊というのは水を使って穢れを洗い流すことで、祓はそのまんま罪や穢れを払うことよ。禊祓はそれをセットにした言葉ね」

魔理沙「ああ、たまに霊夢も白装束でじゃぶじゃぶやってるあれな」

霊夢「夏はいいけど冬にはやりたくないのよねー。寒いし凍えるし」

霖之助「もう少し詳しく説明すると禊ぎとは身を滌ぐ"身滌ぎ"の意であり、海川池滝壺など清浄な水の流れによって身を清めることを意味する」

永琳「祓は解除とも記し、罪・穢れ・災い取り除くための行いを意味するのよね。つまり同じような意味の言葉を繋げることで強調しているということかしら」

紫「厳密には二つは違うものだけれども同一視されていた節はあるみたいですね」

魔理沙「御高説を賜ったのはいいが、そろそろ結論をいってくれないか。あんまり長い話は嫌われるぜ」

霊夢「馬鹿ね魔理沙。あんた今までの話を聞いてなかったの? つまり禊祓という行為の神話的な起源が今回のお話だったってことよ」

霖之助「その通り。流石は、巫女だね」

霊夢「流石は、私よ」

紫(――台詞をパクられたっ!?)

魔理沙「でもそんなこと巫女やらだけの話で私たちには関係のないことだろ?」

霖之助「そんなことはない。魔理沙には違うかもしれないが、僕達には十分に関係がある。神社に参拝する時に手水舎で手を洗い口を漱ぐだろう? あれも立派な禊祓の一つなんだよ」

魔理沙「ああ、自慢じゃないが私は神社に入るときに手を洗ったことは一度もないぜ」

永琳「本当に自慢にならないわよ」

霖之助「というわけで今回のお話はこれで終わりだ。次回の授業でまたお会いしよう」

霊夢「はっ……そういえば私の出番――」

紫「それでは皆様、御機嫌よう」
























































パチュリー「霖とー」

霖之助「パチェのー」

パチュリー霖之助『なぜなに香霖堂ー』

霖之助「ってなんだこのパクり臭いコーナーは?」

パチュリー「ふん、ぞんざいな扱いをされて黙っていられる訳ないじゃない。というわけで勝手に住吉さんの解説をさせてもらうことにしたの」

霖之助「本当に勝手だな」

パチュリー「別に貴方に働いて貰おうとは思っていないわ。そこに突っ立って「うわー、そうなんだー」とか「凄いやおねえさんっ」とか相槌を打つだけでいいから」

霖之助「それは御免被るよ。折角だから僕も解説に参加するとしよう」

パチュリー「そう。じゃあ始めるわよ」

霖之助「さて儚月抄を読んでいる人には今更の話ではあるがお付き合い頂ければ幸いだ。勿論、読み飛ばしてくれても全然構わないよ」

パチュリー「構うわよ、折角の私の出番――」

霖之助「さて底筒之男命、中筒之男命、上筒之男命の三神が産まれた経緯は上記で述べたばかりだが、この三神を称して墨江(すみのえ)の三前の大神と呼ぶ。墨江とは澄みの江であり「澄んだ入り江」を意味する。また古代においては住吉とかいてスミノエと読んでいた。このことからもこの三神が住吉の神であることがわかるだろう」

パチュリー「ちょっとここは私が解説するコーナー――」

霖之助「余り詳しく解説するのは本コーナーの意義に反するので一つエピソードを紹介することで終わるとしよう。彼女が解説のようなもので挙げようとしていたのが――」







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       `ト、        !  〈 i ;' / ,ハ      ヽ.     'r、      /   `ー' '
        ノ.ノ __     ノ   i V / / /!       '.,    _r'ヘ     /     l 7 l 7
       i_|  V   /    ハ./ ;' i i '、 }><{  ン´/!/      \     |/ .|/
       ヽヽ ∧      / ;'  i  ', ヽ、 i     r'"ン:::::/    /     o  o








パチュリー「ここからは私が解説するわ」

霖之助(そんなに大声を出すほど解説がしたかったのか……)

パチュリー「仲哀天皇の時代、九州南部の豪族熊曾族を討伐しようとしていた時に神功皇后が占うと『西海の宝の国(新羅)』を与えるという託宣が下ったの」

霖之助「だが仲哀天皇はそれを信じなかった為に神の怒りに触れて死んでしまった――っと睨まないでくれ。僕は補足に徹するからさ」

パチュリー「……まあいいわ。その後神功皇后はもう一度神意を占うの。そうすると『皇后の御腹に宿る御子に国を治めさせよ』とのことだったわ。その託宣を下されたのが住吉三神だったのよ」

霖之助「その後、神意に従って住吉三神を守り神とし新羅へ遠征しこれを平定したんだ」

パチュリー「このエピソードからもわかるように住吉三神は大和朝廷にとっても重要な神になっていたわ。遣唐使を送るときにも丁重に奉られたりね」

霖之助「それだけでなく民間にも篤く信仰されていたことは住吉神社の数の多さからもわかる。また身の回りの地名を見てみると“住吉”と付く地が少なからずあることに気が付くだろう」

パチュリー「少し触れた神功皇后については面白いエピソードがあるので興味が湧いたら調べてみると良いと思うわ」

霖之助「そうだね。因みにこの時産まれた神功皇后の御子がホンダワケ命、後の応神天皇であるのだから神話の壮大さがわかるだろう」

パチュリー「そんなに重要な神様をスルーしようっていう人もいるのだから驚きだわ」

霖之助「それは……本編の意義から外れるのだから仕様がないだろう。ざっと神話の流れを知るだけなんだからさ」

パチュリー「貴方は口を開けばそればっかりね。もう慣れたけれど」

霖之助「事実なんだから仕様がない」

パチュリー「そうね。さて、今回はこのコーナーもこれで終わりよ」

霖之助「ふう。もう勝手にコーナーを作らないでくれよ」

パチュリー「……またね〜……」

霖之助(やる気満々だ……)
posted by sei at 01:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 補習授業シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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