2008年08月24日

森近霖之助の補習授業 神話編 三時限目

●前回までの粗筋

霖之助「イザナギとイザナミは多くの国と神を産んだ」

霊夢「でもその中に火の神様がいてその時負った火傷が元でイザナミは死んでしまうわ」

魔理沙「怒ったイザナギは火の神、カグツチを十拳剣で斬り殺してしまう」

●キャラ紹介

霖之助「伊邪那岐神担当。別名フラグブレイカー」

霊夢「伊邪那美神担当。別名ヤンデ霊夢」

魔理沙「出番があるといいましたが、今回も暇をしてもらうことになりました」

萃香「鬼つながりで黄泉醜女よもつしこめ他を担当。モブキャラです」

レミリア「建御雷之男神担当。出番を捏造してちょい役で出てもらいました」









●黄泉下り
霖之助「ああ、イザナミ……どうして僕を残して逝ってしまったんだ……」

レミリア「まあ過ぎたことを悔やんでもしょうがないわ、お父様。お盆になれば冥界から帰ってくるわよ、だから国造りを進めましょう?」

霖之助「いや、そんな身も蓋もないことを言われても困るんだが……まあいい。僕はイザナミに会いに黄泉の国へ行って来る」

レミリア「あらら、行っちゃったわ。死者に会いに行くねぇ……それがどういうことかわかっているのかしら」





 こうしてイザナギは国造りの途中で黄泉の国へ向かい、イザナミに会いに行く。
 黄泉の御殿に辿り着いたイザナギは戸口を叩いてイザナミに呼びかける。






 ドンドンドン。

霖之助「イザナミ、僕だ。君の夫のイザナギだ! ここを開けてくれ!」

霊夢「本当かー。本当に本物のイザナギなのかー。本当のイザナギならこれができるハズです。

霖之助さんのものまねー」





霖之助「……フラグを立てたらバッキバキに折ればいいじゃない」

霊夢「うわーーー超フラグブレイカー。やっぱりイザナギだーッ!」

霖之助「(霊夢は一体僕をどういう奴だと思っているんだ?)
愛する妻よ、まだ国造りは終わっていない。君の力が必要なんだ、戻ってきてはくれないか?」

霊夢「残念だけど……それは無理なのよ。イザナミ、貴方は遅すぎたわ……私はもう黄泉の国の食べ物を口にしてしまったの。もう簡単に地上には戻れないわ」

霖之助「な、何だって!? 黄泉戸喫よもつへぐいをしてしまったのか!?」





 黄泉戸喫とは黄泉の国の竈で煮炊きしたものを食べることである。これをしてしまったものは完全に黄泉の国の者になりきってしまい、二度と現世には帰れないとされる。





霊夢「でも……そうね。こうして私に会いに来てくれたことは畏れ多いことだし……嬉しかったわ。一度、黄泉神に相談してみるわ。もしかしたら帰ることが出来るかもしれない。けど私が帰ってくるまで絶対に中を覗かないでね」

霖之助「あ……ああ! わかったよイザナギ!」

霊夢「絶対よ? 絶対に覗かないでよ!?」

霖之助(あんまり念を押されると反抗したくなるのは何故なんだろうか?)





 イザナミは家の奥へと行ってしまった。
 最初は大人しく待っていたイザナギだったが、待てど暮らせど帰ってこないイザナミに痺れを切らし、あれほど言われた約束を破って奥へと入ってしまう。





霖之助「こう暗いと何も見えないな。そうだ、櫛の歯を折ってそれに火を付ければ……ヒィ!」

霊夢「うおっ、まぶし!」





 角髪に結った髪に差していた湯津津間櫛ゆつつまぐしに火を灯したイザナギだったが、そこには体は腐り、蛆にたかられて醜悪な姿となったイザナミが地に倒れ臥していた。そして体の各所から雷神が生み出されていた。在りし日の美しい妻の姿は最早なく、完全にこの世のものと決別してしまっていたことを漸くイザナギは思い知った。





霊夢「もう、入ってきちゃ駄目だっていったじゃない! まだ特殊メイクの途中なのに!」

霖之助「うう、わかっていても思わず声を上げてしまうほどの精巧さだ。流石は河童印といったところだろうか」

霊夢「それはともかくとして。

 初めてですよ……ここまで私をコケにしたおバカさん達は……。まさかこんな結果になろうとはおもいませんでした……」

霖之助(達……?)

霊夢「ぜったいに許さんぞ、虫けらども!じわじわとなぶり殺しにしてくれる!」

霖之助「うわああああああああああああああああ!!!」

霊夢「イザナギを追いなさい! 私はまだ(メイクが終わってないから)動けないわ!」

萃香「えー面倒臭いなー、もう」





 逃げ出したイザナギに初めは黄泉醜女を向かわせる。





萃香「ほらほら、早く逃げないと追いついちゃうよ?」

霖之助「くそっ、このままだと逃げ切れない……こうなったらっ!」

萃香「何よ、そんなもの投げられたって痛くも痒くも……っておおおお!」





 イザナギが黒御縵くろみかづら(髪飾りのこと)を投げつけるとそれが蒲子えびかづらのみ(山葡萄のこと)となった。
 黄泉醜女がそれを食べている間にイザナギは逃げ出す。





萃香「こんなもので私を惑わせると思ったのか? ふん、鬼も舐められたものね」

霖之助「葡萄の汁で口元をべたべたにしながら言われても説得力がないが……次はこいつだ! 陰陽弾湯津津間櫛を食らえ!」





 次に投げた湯津津間櫛はたちまち辺りにたかむな(筍のこと)を生やし、また黄泉醜女がそれを食べている間に逃げ出した。





霊夢「まったく、何やってるのよあんたは!」

萃香「いたっ! ぶつことないじゃない、もう! 今度はちゃんとやるわよ」





 黄泉醜女に加えイザナミから生まれた八雷神やついかつちのかみに千五百の軍勢(黄泉戦よもついくさ)を従わせて、大軍勢でイザナギを追った。
 腰に帯びていた十拳剣を後ろ手に振りながらイザナギは逃げるが、軍勢の勢いは止まらなかった。






萃香萃香萃香萃香
萃香萃香萃香萃香


『まあああああああちいいいいいいいいいいいなああさああああいいいいいいいいいいいいいいいいい!!』


霖之助「このままじゃ逃げ切れない……もう少しで黄泉の国から出られるのに。
……あそこに生えているのは桃の木か? よし、あれを使えば……!」

 ぽいぽいぽいっ。
 
霖之助「…………」

萃香「…………え? どういうつもり? 桃の実なんて投げてどうするの?」

霖之助「え、いやそう改まって聞かれても困るが、桃には昔から霊力があるとされているんだ。だからこの場合は……」

萃香「あ、ああそっか! う〜わ〜、や〜ら〜れ〜た〜。ばたっ」

霖之助(駄目だこいつ……早くなんとかしないと……)





 桃の実を三つ投げられた軍勢は悉く逃げ帰った。
イザナギは自分を助けてくれた桃に感謝し、自分と同じように人々を助けてくれと言って意富加牟豆美命おおかむづみのみこと(大神の実という意味)の名前を与えた。
 軍勢が退いたことを知ったイザナミは自らイザナギを追いかける。
 しかしイザナギは間一髪黄泉の国から抜け出して、出入り口を千引石ちびきのいわで塞いでしまう。





霊夢「うふふふ、ねえなんでこんなことするの? 私たち夫婦でしょ? この岩をどけてお話しましょ?」

霖之助「……なんでだって? そんなこともわからないのかい?」

霊夢

「質問を質問で返すなあーっ!! 疑問文には疑問文で答えろと 学校で教えているのか? わたしが「なんで」と聞いているんだッ!」


霖之助「もう僕達は一緒にいられない。そのことがわかってしまったんだ」

霊夢「……そう、私と縁を切ろうっていうのね。いいわ、好きにしなさい。でも私にも考えがあるわ」

霖之助「…………」

霊夢「私は貴方の国の民草を一日千人縊り殺しましょう。それが貴方の受ける報いなのよ」

霖之助「……それならば僕は一日に千五百の産屋を立てるとしよう」

霊夢「さようなら、愛しき我が夫よ」

霖之助「……ああ、さようなら、だ」





 こうしてイザナギは無事に黄泉の国から逃げ帰ることが出来た。
 これ以降イザナミは黄泉津大神よもつおおかみ、または道敷大神(みちしきのおおかみ)と呼ばれることになる。










●解説のようなもの
 
霊夢「あーもう、やっぱりこんな役周りなのね。最初からわかってたことだけど」

霖之助「まあ何でかは知らないが、霊夢と言えばヤンデレって認識が広まっているみたいだからね。
僕の認識が変わったのは障子の隙間から顔を覗かせているあの画像を見てからだ。いや、あれは本当に怖かったな」

霊夢「ふんっ、何がヤンデレよ。本当ならこんな役断ってるんだけど、主役だからしょうがなくやってあげたのよ! 
べ、別に霖之助さんの為なんかじゃないんだからね!」

魔理沙「今度はツンデレか。人気取りはいいんだが、キャラが崩れまくってるぜ霊夢」

霊夢「……はあっ。お賽銭が無いんだから、人気くらいあってもいいと思うのよね(遠い目)」

レミリア「私なんか今回出番二言だけよ。霊夢は少し贅沢なんじゃないかしら?」

魔理沙「まあ霊夢は放っておくとして、今回は私の出番があるんじゃなかったのか? いい加減退屈になってきたぜ」

霖之助「ああ……少々長くなってしまったんで分割したんだ。だから登場予定が次回にずれこんだんだよ」

魔理沙「ふーん、まあいいけどな」

霖之助「さて今回の話の一番重要なことは最後にイザナミが残した呪いにある」

魔理沙「ああ、ヤンデ霊夢の最後の言葉か」

霊夢「もうっ、いい加減ヤンデレから離れなさいよ」

霖之助「イザナミの言葉の意味はそのままだが、イザナギの産屋を千五百建てるというのは一日に千五百人の子供を産むということだ」

魔理沙「まあでもそんなもんじゃないのか? 千人死ぬ間に千五百人産まれる。いたって普通のことじゃないか」

霊夢「馬鹿ね、今まで何を聞いていたのよ。この話はつまり人間が何故死んでしまうのかってことを表しているのよ」

霖之助「その通り。人間の死というものの神話的な起源がこの黄泉下りから読み取れるのさ。
それはつまり古代の死生観が読み取れるということでもある」

魔理沙「なるほど。神様の所為で私達は死んでしまうことになったのか。
まったく、とんでもないことをしてくれたもんだぜ」

霊夢「死ななかったらもっと大変なことになっていると思うけど」

萃香「ああ、疲れた疲れた。紫がいっていたことは本当だった、まったく人使いが荒いったら」

霖之助「ああ、お疲れ。最も古い鬼に加え千五百の大軍勢だから、萃香以外に適任はいなかったからね」

萃香「ああもう、そんなことはどうでもいいわよ。それよりお酒はないの?」

霖之助「……さて、後は簡単にだが作中の単語を解説しようと思う。

黄泉醜女とはその名の通り醜悪な姿をした黄泉の国に住む鬼女のことだ。

またイザナギが追手から逃げる時に振るった十拳剣だが、これは固有名詞ではなく『拳十個分くらいの長さの剣』を意味する。だから他にもスサノオが十拳剣を持っていたりするが、それらが必ずしも同じ剣だというわけではない。
固有名詞ということでいえばイザナギの持つ剣は『天之尾羽張あめのおはばり』若しくは『伊都之尾羽張いつのおはばりなどと呼ばれる。

千引石はその名の通り千人がかりでないと動かせないような大岩のことだ。イザナミを追い返したことから道反之大神ちがえしのおおかみという名前を与えられた。

八雷神はイザナミの体から化生した神だ。具体的には、
頭から生まれた大雷おおいかづち
胸から生まれた火雷ほのいかづち
腹から生まれた黒雷くろいかづち
陰部から生まれた析雷さくいかづち
左手から生まれた若雷わかいかづち
右手から生まれた土雷つちいかづち
左足から生まれた鳴雷なるいかづち
右足から生まれた伏雷ふすいかづち
以上の雷神を合わせて八雷神と呼ぶ。
神話に出てくるから有力な神、かと思いきや割りとマイナーな神なんだ。最も有名な雷神、というと天神様になるからね。
ということで細かい説明は割愛する。

とまあこんなところかな。
もしわからないところがあれば補足するので遠慮なく質問してくれ」

霊夢「湯津津間櫛、黒御縵、桃子三個についての説明はなくていいの?」

霖之助「まあ神話の話の流れを解説するというコーナーだからそこまでやる必要はないと判断したんだ。
単純に櫛や髪飾り、桃には悪霊から身を守る強い霊力がある、とだけ覚えておいて貰えればそれでいいと思う」

魔理沙「それじゃあ今回はここまでだな。
次回こそ私の出番らしいんで楽しみに待っているといいぜ」

萃香「そんなことよりお酒まだなのー?」

霖之助霊夢魔理沙レミリア

((((駄目だこのアル中……早くなんとかしないと……))))


posted by sei at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 補習授業シリーズ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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